食品ECサイトを運営する際、クレーム対応は非常に重要です。特に、食品は鮮度や品質が重要な要素であり、配送時の温度管理や梱包状態など、細心の注意を払っても不満が発生することがあります。しかし、クレーム対応を適切に行うことで、顧客の信頼を得てリピーターを増やすチャンスにもなります。本記事では、食品ECサイトに特化したクレーム対応のポイントを詳しく解説します。

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食品ECサイトで発生しやすいクレームとその原因

食品ECサイトのクレームは以下の通り、多岐にわたります。対応スキル以外に商品知識も必要ですので、カスタマーサポートの担当者は覚えることが膨大になりがちです。カスタマーサポートの品質を安定させ、担当者の負荷を下げるためにもそれぞれのクレーム別に、対応方針やマニュアルを見直してみてはいかがでしょうか。

商品に関するクレーム

  • 商品の劣化や傷み:初期不良、配送中の衝撃や温度管理、顧客の長期不在、受取後の保管状況
  • 賞味期限誤り・短い:商品ページの案内不足、発送ミス
  • 品質や味への不満:商品ページ・食べ方の案内不足、過剰PR
  • 異物混入:製造工程・梱包過程でのミス
  • 破損(商品・パッケージ):配送中の衝撃、梱包材が不十分
  • ラベル・表示不足:製造工程・梱包過程でのミス、商品ページの案内不足
  • 体調不良・食中毒:製造工程の衛生管理、食べ合わせ、体調、保管方法、温度管理、調理方法間違い

注文内容に関するクレーム

  • 数量・内容間違い:ピッキングミス、システムエラー、顧客の勘違い
  • 思っていた商品と違う:商品ページでの過剰PR、案内不足

配送に関するクレーム

  • 遅延や指定日時に届かない:日時の指定ミス、配送遅延
  • 配送中の破損・温度間違い:温度帯の指定ミス、配送中のミス

対応に関するクレーム

  • サポートの対応が悪い:冷たい、不親切、マニュアル通りすぎ、知識不足、言葉遣い、態度
  • 連絡が遅い:システムの不備、スタッフの業務高負荷、問い合わせの優先度管理ミス、休業日

食品ECサイトでのクレーム対応の基本ステップ

食品ECサイトにおけるクレーム対応は、迅速かつ誠実な対応が求められます。以下のステップで対応することが効果的です。

ステップ1:初期対応の速さ

食品ECサイトでのクレームの場合、時間が経つほど問題が深刻化することが多いです。特に鮮度が命の食材や、晴れの日や大切なお食事に使いたいものの場合など、返信の時間が遅くなるにつれて、顧客の不満は高まるだけでなく、お店の対応への不満も重なり複合的なクレーム対応が求められるケースも少なくありません。出来る限り早く顧客へ連絡を取り、状況把握に努めましょう。

ステップ2:顧客の話をしっかり聞く

顧客は商品に期待して購入しているため、クレーム時には感情的になりやすいです。焦って早く解決しようとすると、かえって顧客の感情を刺激してしまうこともあるので、まずは共感を示しながら最後まで話を聞くことが大切です。話の途中で原因がわかっても、すぐに説明しようとせず、相手の話が終わるのを待ちましょう。顧客は途中で話を遮られると、不信感を抱くことがあります。十分に共感した上で、丁寧に説明するよう心がけましょう。

ステップ3:問題解決と代替案の提案

食品クレームでは、迅速な対応が求められるだけでなく、味や鮮度、色や形状など判断が難しい点も多くあります。そのため、まずは顧客に現品の保存や写真撮影をお願いし、双方で事実確認ができるようにしましょう。十分に状況を確認しないまま再送や返金を提案すると、問題が解決しないまま終わったり、顧客に適当に対応されたと誤解を与えることがあります。客観的に状況を確認できることで、冷静に最適な対応を選択できます。また、クレーム対応はストレスがかかりやすい業務ですので、再送手配がスムーズに行える体制を整えておくなど、事前に実行しやすい対策を準備しておくことも重要です。

食品ECサイトのクレーム対応方針を決めるポイント

クレーム対応のタイミングはコントロールできない場合が多いため、対応方針をあらかじめ決めておきクレームが起こった時にもスムーズに対応できる体制づくりが重要です。

分類分けと優先順位

人数が限られたスタッフで時間内にクレーム対応をするためには、クレームを種類ごとに分類し、その優先順位を明確にすることが重要です。例えば、「異物混入」「食中毒の疑い」は最優先で対応し、顧客への速やかな連絡と対策を実施するなどです。このようにクレームを分類し、影響度に応じて優先順位を設定することで対応遅れや顧客満足度向上につながります。

エスカレーション体制

優先度の高い重大なクレームや緊急性の高いものを対応する場合には、迅速に上級スタッフや責任者にエスカレーションをできる体制を整えることで、迅速かつ的確に対応することができ、対応スタッフも落ち着いて対応ができます。またエスカレーション先の方が不在時や連絡がつかない場合の対応も事前に決めておくことで対応遅れや問題の深刻化などを未然に防ぐことができます。

対応方針とマニュアル

対応方針やマニュアルを作成することで全スタッフに共有することができ、対応品質を安定させることができます。また商品が知識が多数必要な場合は、商品ごとのマニュアルも作ることでスタッフの対応範囲が広がります。あまり具体的に細かく決めすぎると、複雑でわかりにくくなってしまうことや、マニュアル以外対応が出来なくなる恐れの他、逆にエスカレーション対応が増えて責任者や上級スタッフへの負荷が上がってしまうなども考えられます。バランスをみた対応方針やマニュアルの整備が大切です。

クレーム対応後のフォローアップ

クレーム対応後、返金やご理解をいただいた場合は、その場で感謝の気持ちを伝えることができますが、再送対応の場合は、その後のフォローが不十分になりがちです。再送後にお客様からの反応がない場合は、「その後、商品はいかがでしたか?」といったフォローメールを送り、お客様が気軽に意見を伝えられる環境を作りましょう。お客様は「美味しかった」や「やはり満足できなかった」といった意見を、あえて言わないこともありますが、そうした声こそが改善の鍵です。丁寧なフォローアップを心がけることで、貴重なフィードバックを集め、サービス向上に役立てましょう

クレームを未然に防ぐ!商品ページ改善

クレーム対応自体も重要ですが、クレームを未然に防ぐための商品ページ改善も同様に大切です。商品ページに正確かつ分かりやすい情報を記載することで、お客様が商品を理解しやすくなり、不満や誤解を減らすことができます。具体的には、以下のポイントを参考にしてください。

  • 商品情報の提供:アレルギー、賞味期限、原材料、大きさ、量など商品を選ぶ際に重要な情報記載
  • 実物写真:実際お届けする商品写真を掲載。素材写真を多用しない・画像加工しすぎないこと
  • 注意事項:形が不揃いなどの商品特性、お届け時期、保存方法や食べ方にコツがいるなど
  • FAQの充実:よくあるお問合せや季節ごとに多くなる問い合わせを適宜更新

お客様が実際に手にとって商品のラベルや商品の実物を見るように食品ECサイトでもお買い物ができると「思っていたのと違った」「食べ方を間違えた」などのクレームを防ぐことができます。ページ制作する方はお客様に商品を満足していただくことを考えた商品ページ作りをしていきましょう。

まとめ

食品ECサイトのクレームは適切な対応を行うことで顧客の信頼を築き、リピーター獲得のチャンスに変えることができます。クレーム対応を単なる解決作業とせず、顧客満足度向上のための貴重な機会として捉えることで、信頼される食品ECサイト運営を目指していきましょう。